11月のお出掛け「ウィンザーチェア展」と椅子作り事始め 2017/11/17/Fri
私の夫は、アンティーク家具の修理人です。修理の仕事は今も続けていますが、同時に数年前から作る方も始めています。そしてこの秋から、私のたっての希望であった「椅子の製作」をスタートしました。
木の家具の中では、やはり何と言っても椅子が好きです。椅子を作って欲しいとずっと以前から言っていたのですが、何千という椅子を修理して来て、その難しさを知っているからこそ安易に手が出せなかったらしく、やっと、という感じです。
というわけで、まずは先人に学ぶ。こちらに行ってまいりました。
「ウィンザーチェア展」。
場所は駒場東大前「日本民藝館」。
建物も素敵です。靴を脱いで、スリッパに履き替えて見ます。中は撮影禁止なので、内容は図録でご紹介。
ウィンザーチェアは、18世紀ごろイギリスで生まれた木の椅子です。すべてが木で作られていて、座板に背棒と脚を差し込む形で作られています。時代が古いものほど素朴で荒削り、でもそこが何とも言えず味わい深いのです。
もともとは農作業やガーデンチェアとして、屋外で使用された椅子でした。それがロンドンなど都市部でも流行し、だんだんと装飾も施され、19世紀には大規模な工場で生産されるようになっていきました。今、日本ではウィンザーチェアというとこの感じ↓をイメージするかと思います。松本民芸家具などでお馴染みの姿ですね。
私自身は時代が古い素朴な方に強く心惹かれます。朴とつとして力強く、いかにも手で作ったという温もりがあって、緻密さは全くありません。水平じゃない、平行じゃない、左右対称じゃない。足の太さもバラバラ、角度も違うし、どう見ても傾いている、自由そのものです。もちろん作者が誰かなんてわかりません。当時はただの生活用品だったのです。
それが今ではこうして美術館、博物館に「お手を触れないで下さい」と札をつけられ並べられています。ですからもし手に入れようとしても、椅子とは思えないお値段がついているかと。
そんな本物のアンティークのウィンザーチェアが、昨年修理のため我が家に持ち込まれました。
とにかくボロボロだったのです、古いですから。一度分解して、失った部分を再生して、当時あった姿を再現する修理が施されました。修理の時の記事はこちらです
座面は傾いているし、座り心地も、決して良いとは言えません。でも何とも味わい深い木の椅子。修理が終わっても、「これが私のものだったらなぁ・・・」と、なごり惜しい。
こちらは↓私が持っているイギリスアンティークの子供椅子。娘が実際に座っていたのはほんの短い間で、今は誰も座れませんが、いつも部屋に置いています。
こちら↓は、主人作。
子供椅子。何歳ぐらいの子供が座れるのかはわかりません。2歳ぐらいの小さい子用かしら・・・ドールチェアにしても良いですし、置いておくだけでも可愛いです。子供服のお店のディスプレイなどにお薦めしたい感じです。
こちら↓も主人作。子供椅子、塗装前です。図録に載っていたような古い時代の雰囲気が上手く表現されています。
さすが30年以上も古い家具と付き合ってきただけのことはあります。実はこういう素人と家具職人の中間ぐらいのものをセンス良く作るのはかなり難しいと思います。テクニックを見せ過ぎると作り込み過ぎてつまらないし、素人のDIYレベルでもダメ。確かな技術の中に絶妙な“ぬけ感”があり、形にも色にも質感にもさり気なく使い込まれた“こなれ感”が出ていなければいけません。18世紀の本物に勝てるわけはないけれど、なかなかいい線いっているのではないでしょうか。
いま塗装をどうするか迷っているみたいです。
これからいよいよ大人用ウィンザーチェアの習作に入ります。私のは作ってくれるのかなぁ・・・
気長に待つことにしましょ・・・。
こちら↑のスモールチェアは販売しております。1点のみ、価格1万5000円と大変お買得です。ご注文はこちらへ「ブログの子供椅子」でお願い致します。
「ウィンザーチェア 日本人が愛した英国の椅子」展は2017年11月23日(祝)までです。
日本民藝館のサイトはこちら→http://www.mingeikan.or.jp/