縫っている間の”座りっぱなし問題”を考える 2018/01/30/Tue

みなさま こんにちは
今日も手縫いちくちく、楽しんで下さっていますか?

私は、このお店を始めてからは今年で22年、それより以前、手芸本を見よう見まねでパッチワークを始めたのは高校生の頃、さらに遡って、小学生の頃は刺繍とカギ針編み、と、もう40年以上も針を持って何か作ることを続けているのですが、それでも、ちっとも飽きることはなくて、今作っているものが出来上がったら次は何を作ろうかしら、しばらく編み物もやっていないからやりたいなぁ、あれもこれも、作りたいものがいっぱい頭に浮かんで来て、困ってしまうほどです。
あぁもっと時間があったらなぁ・・・。

いつでしたか、私の教室に通って下さっていた方が
「先生にお会い出来て本当によかった!もしお会いしていなかったら、今もきっとただぼんやりテレビの前に座って一日過ごす毎日だったでしょう。今は、これがあるから、毎日好きな音楽をかけて、お茶を横に置いて、可愛い布を縫っている時間が本当に楽しくて仕方ないの。息子にもお母さん楽しそうだねなんて言われるんですよ」なんて仰っていましたっけ。

そうなんです。本当に、針仕事は楽しくて楽しくて、時間を忘れます。
その割に、道具や材料もそんなに高価ではないし、出来上がったものは家の中で使えたりプレゼントしたり出来るし、自分だけの楽しい時間があるからこそ、家事や仕事を頑張れたり、家族に優しく出来たり、とにかくイイコトばっかりで、お薦めの理由は限りなく出てくるわけです。

ところがところが、たったひとつだけ、あるんです。 最大にして唯一の欠点。 それは

運動不足になること。

ああ、もう、これはどうしょうもなくて、だって、座って黙々と作業しなければ、進みませんもの。
そして、当然、自分の家の中の決まった場所で、じっと座って、目と手のみを動かしているだけの時間。
特に冬場のこの時期、暖かいお部屋の中で好きなことをやっていると、立ち上がるのが億劫になって、ひどい時はトイレに立つことさえも後回しにしたり・・・

好きだからこその悩み、ついついやり過ぎてしまうんですよね・・・。
ここまで縫ったらやめよう、あと1枚縫ったらやめよう、〇時になったらやめよう・・・決めていますよ、ちゃんと。
でも、なかなか、やめられません・・・。

ここ数年、座りっぱなしが体に悪影響を及ぼすのだと言われていますね。
欧米や外資系の会社では、オフィスにスタンディングデスクを採用している所が出てきたりして、それで仕事の効率が上がったとか上がらなかったとか・・・。
立っていることが本当に健康にいいかどうかはさておき、とにかくずっと同じ体勢でいることが体に良いわけがありません。
みなさま、針仕事をしている時、平気で2時間3時間、同じ場所に座っていませんか?

以前、「針のこと」という記事を書いた時にもふれましたが、熱中するのはいいけれど、度を越してはなりません。
好きなことをして、健康を害してはなりません。脅すようですが、好きなことを、2度とやれなくなりますよ。
今から肝に銘じて、自分の「適量」を知りましょう。

わたしは、みなさまほど真面目ではなく、こう見えて結構飽き性です。 楽しいけれど、長時間はやらないので、針仕事では肩こりも腰痛もありません。 でもやはり圧倒的に運動不足です。
ですがなかなか運動をする時間も捻出できないので、とりあえず座りっぱなしにならないように心掛けています。
普段から何か運動をしている方には無用な心配ですが、私と同様に家にこもるタイプの方に
お薦めは、「立ち縫い」です。

みなさま、立って縫い物したことはありますか?
私は昔から、時々やっておりました。
「立って縫うなんて、出来る?」とお思いになるかも知れませんが、結構出来るものですよ。針やハサミは自然に手がいく場所に設置して、目で見ないで勘で取ります。 置く場所がなければ、ポシェットとかウエストポーチとか安全ピンなどを利用しても良いかと。
老眼となった今の私は、立っていると手元が照明に近くなるので、針目がよく見えることにも気が付きました。
座っている時と同じように縫うには、腕の筋力も必要ですし、効率よく縫おうとして頭も使っているのも、立って縫うことの意外な効果かも知れません。
重心を右足にかけたり左足にかけたり、両足に平均にかけたり。つま先立ちもしてみたり。もちろんずっと立っているのではなく、疲れたら椅子に座ったり、床に座ったり、体勢をいろいろ変えてみます。

もちろん製作途中には、テーブルに置いたまま縫う必要のあるプロセスもありますから、そういう時は落ち着いて椅子に座ってじっくり取り組みます。
どうしても座ってしかきれいに縫えないのなら、それはそれでもいいのです。
丁寧に、その時点の、自分の一番上手な針目で縫う、それが第一の目的です。
でも、長時間同じ場所に座りっぱなしにならないように、何か自分で工夫をしてみましょう。
例えば、糸を近くに置かない、とか。
1階のリビングで縫っているなら、糸は階段を上がった2階に置いておくのです。

一度立ち上がってそこまで歩いて行かなければ、絶対に次に進めません。同じ部屋の中でもいいので、なるべく遠くに置くとか、敢えて動きが発生するようなことを取り入れてみましょう。
椅子に座っている時には、つま先を動かしてみたり、背筋をピンと伸ばしてみたり、お腹を引っ込めてみたり、そうやって体勢を変えて、目と腕以外の所も同時に動かすように仕向けましょう。

湯あたりと同じニュアンスで、「針あたり」という言葉もあるくらいです。主に首の懲りからくる、めまいや吐き気、腕のしびれなど、針仕事をし過ぎて体調が悪くなる状態です。
どんなに楽しくてもやり過ぎはいけません。体の不調は時間がたってから出る場合もありますから、針仕事ぐらいと、あなどってはなりません。
目の疲れにも気をつけましょう。まばたきを忘れず、疲れを感じたら、そこで潔く針を置きましょう。

何事にも共通することだと思いますが、長く続けるこつは、つっ走り過ぎないことのようです。
許容量を超えると、必ず反動が来ます。ずっと同じ姿勢で無心に縫い続ければ、速く進むのは確かですが、決して良い結果だけが待っているわけではありません。
少し時間が多めに掛かっても、焦らず、自分の体を労わりつつ、楽しみは細く長く続けていきましょう。

2018-01-30 | Posted in 読みもの | タグ: Comments Closed 

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