大きいキルトを作るに際し.2
もし、
本当に何日も、何週間も、何か月も、ずっと頭から離れず、大きいキルトのことがいつも思い浮かんでしまうのなら、
それは『作って良し!』のゴーサインかも知れない。
でも、そこはしつこく、あと少しだけ冷静に考えてみた方がいい。
今、自分は出来る環境に、または心境にあるのか、そしてそれは今後もしばらく持続可能なのか・・・
なぜなら、大きいキルトを仕上げる最大にして唯一の条件、それは
「気力」だから。
えー、スポ根マンガじゃあるまいしー、ここに来て「根性」?何かほかにあるんでしょお?簡単に仕上がる方法、
って言いたい気持ちもわかるけど、そんな魔法のようなものがあるのなら、私は自分だけドンドン完成させて、 しかもその事は誰にも話さず、秘かに特許を取って左うちわ・・・。
(-_-)
とどのつまり、必要なのは強い気持ちだけで、実はテクニックなんて、必要ない。
なまじそんなものあると、かえって自分の力量を見損じる。
とにもかくにも、最初に思った「作りたい!」という気持ちを、完成する瞬間まで持ち続けられるか、それが鍵なの。
それには、「気持ち」をサポートする「計画性」がものをいう。
現代人は悲しいかな、「飽きる」動物で、どんなに好きなことでも毎日続けば飽きる。飽きることを想定して計画を立てるべき。
そして、何よりも大事なのは、作りたいもの、作れるものを作ること。これは一見当然のことのようで、みんな自分ではわかっている気になっているけど、本当にそうなのか、実際は違っていることも多い。
まず、「必要なもの」イコール「作りたいもの」ではない。
そして「作りたいもの」イコール「作れるもの」ではないことを認識した方がいい。
よくあるケースは、夫または息子のベッドカバー。必要だと自分で勝手に思い込んで作りはじめるが、何分男性のものは色が地味で可愛い花柄も登場しない。そのうち気持ちが冷めて、すっかり手を付けなくなる。
または、
キルト展で見たものすごく小さな四角をた~くさん縫いつないだキルト。小さくたって、単に四角をつなぐだけなんだから自分にだって出来るはずと思いきや、これが思った以上に進まない。 結局ベッドカバーじゃなくてパソコンカバー2枚になりました、みたいな。
イベントのワゴンセールで、みんなが買ってるからつい興奮して大量に買ってしまった布。いつまでもあるから使ってしまいたい、じゃあこれを使って大きいキルトでも作って消化してしまおうってやり始めたものの、実はそんなに好きな布じゃなかった。単に買った自分を肯定したかっただけ。
手持ちの布の在庫を減らそうと、なんでもかんでも切ってつなげてみたら、すっかり自分では見飽きた布ばかり、コーディネートも何もあったものじゃない。
色も雰囲気も統一感ゼロ、これ作ってもベッドに掛けて使う?
要らないものを使って何か作ったら、都合よく化学反応でも起こして素晴らしいものができるなんてことは、現実には起こり得ない。
要らないもので作ったものは、やっぱり要らないものだ。
ハッとそれに気づいた瞬間、ヤル気が失せて、お蔵入り。
どれもよくあるパターンで、私自身も経験者。できれば誰もこんな事態には陥りたくない。
それにはまず、見極める冷静さをもつこと。本当に心の底から作ってみたい物なのか、それは自分向きの物なのか
作る時間は確保できるのか。
ノルマみたいに1日何枚とか何時間とか、自分に厳しく課すこともないけど、私みたいに無期限にして「老後の楽しみにとっておく」なんて公然と言うようになったら たちが悪い。
せめて、1年、難しいものは2年で1枚、その間に完成に至るのがベスト。
それ以上かかると、そのまま放ってしまう可能性大だ。
作り始めた日を記録しておいて、だいたいこの辺りではこの作業に入っていることとか、子供の受験とか引っ越しとか、事前にわかる予定は考慮に入れて簡単な予定表を作っておくのもいいと思う。
真夏はペースが大幅にダウンするので、それも想定しておいた方がいい。
出来れば、この日にまでに完成させる!という完成予定日を決めるとモチベーションも上がるかも。 カレンダーにシールを貼ったりしてね。
そしてなにより、シンプルなデザインとヤル気を喚起してくれるお気に入りの布を使うこと。
デザインは、単純であればあるほど良い、と最近私は殊更にそう思う。
これ、↑北海道の Reikoさんにも、 大きな正方形をつなぐだけのシンプルなものをお勧めしたけど、どの布も生き生きと主張し、引き立てあっている。大きな四角だからといって大味な感じはしないし、トリプルのキルティングで、決して手抜きには見えない。
お仕事をしながら、ほかにもいろいろと作品を同時進行で作りつつも、ベッドカバーをちゃんと完成させられたのは、やっぱり、「娘に」という強いヤル気と、サクサク進んだシンプルデザインのお蔭だったと思う。
私が、大きな四角つなぎという究極のシンプルデザインを勧めるのは、簡単で進みが早く、完成する確率が高いという理由以外にも大切なことなのに、つい忘れがちな理由がもうひとつあるのです。
それは何かというと・・・・・・・
次回へつづく